盗賊盤

DVD

通信販売可

裏DVD。他のCDを買ってくれたら無料で無理やり配布するつもり。
これ単体での購入はとてもコスパ悪し。
収録作品「silent blue」のために作ったようなDVD。

収録内容

「ジェネレーションズ PV」

監督&カメラマン鹿島。スタイリスト&雑用のスタッフかをり。
そして主演&喫煙のカオルの3名で1日で撮影。ロケ地はすべて横浜。
ジェネレーションズの「グルグルくわえタバコ乱射シーン」は港の倉庫街広場で深夜撮影。
広場中央のカオルの周りを車でハンドルを左に切り続け走行しながらの撮影。
サイドドア全開で監督は撮り続ける。
スタッフはリップシンク用に曲をCDラジカセで爆音で流しながら転落しないように監督を支える。
7分間急角度の円を描きながら走り続ける運転手は10テイクを超えた辺りでめまいと
強い吐き気を訴えたが鹿島監督は師弟関係にあった後輩ドライバーの休憩要請を無視して撮影続行。
ウワサではカオル応援団長田村の撮影とされているが田村は2周でギブアップ。
夜明けの空をバックにゆらゆらの静かな場面は高い倉庫ビルの屋上で撮影。
転落防止フェンスもない塀のギリギリだったから落ちない様にバランスをとり
その揺れている感じを鹿島監督が気に入りOKテイクになった。
その倉庫街は「あぶない刑事」も撮影に使っていていろんな意味で「あぶない撮影」だった。
その地区は審査基準を満たした許可がなければ立ち入り禁止。
ましてやアマチュアロッカーPV深夜撮影のために広場の野球場用ライト全点灯はかなりのレアケース。
それを実現化したのは鹿島子分ドライバーが倉庫街の権力者だから。
鹿島監督から演出・演技指導の要請などは一切なく役者経験ゼロのカオルは適当マシーン。
喫煙シーンがやたらと多いのは演技的なことはできないカオルが
「タバコ吸っときゃそれっぽくなるんじゃね?」って感じ。

最後に。
いまさらこんなことを書いても仕方ないがポイ捨てシーンなど吸い殻は
すべてスタッフかをりが拾い回収した。

「誰もがハローと言える場所 PV」

ジェネレーションズと同じチーム3名で1日で撮影。

ロケ地は横浜。
橋の鉄柵へのマジック落書き・寿町内ゴミ置き場の洗濯機への落書き・民家への怪しい小袋の投入。
「ジェネレーションズ吸い殻」の真逆でこれらはすべて放置。
網タイツ女性に膝枕場面は関内ストーミーマンデーで撮影。
その日の出演のドラマー湊雅史との談笑場面が数秒記録されている。
寿町内の捨てられている洗濯機に鍵盤の絵を描き弾いている場面。
撮影中から寿町の荒くれ住人たちが集まってきた。
監督にオレたちを撮影したのか?人の縄張りに土足で上がり込みやがってなど叫びながら
一触即発状態。(山谷・西成・寿町。音読するとやたらリズムのいい日本三大ドヤ街)
適当マシーンカオルが「これからみんなを撮るんだよ。ギャラはワンカップ大関ね。
はいみんな笑って」とか誤魔化し撮影したフリをして難を乗り切った。
駅のホームから線路に降り向かいのホームへ渡る場面は横浜鶴見線無人駅で撮影。
後日この行為は法令違反だと知る。
「禁煙」と書かれた赤い大きな看板の真下での喫煙シーン。
この場所は引火性の高い危険物貯蔵庫。
これはガソリンスタンド給油中の喫煙よりはるかに危険な行為だとやはり後日知る。
誰ハロPV撮影は法的にもモラル的にも不適切な行為に満ち溢れている。

「トラベリンシューズ」

映像はすべてカオル27歳の頃に香港1ヶ月ひとり旅のモノ。

公園で弾き語りをしているカオルに私服警官が近寄り演奏中断させる場面。
1991年ごろの香港はイギリス植民地から中国返還を目前に控えていた。
また天安門事件などの余波で「政治的な行為」に過敏で
私服警官は「歌詞の内容」を強く追求してきた。
英語があまりわからないのでその辺の事情をきちんと把握できなかった。
ギターケースを蹴り飛ばしているのは「じゃあ金取らなきゃ唄っていいのかよ」と変な逆ギレ。
カオルが映っている場面の撮影は現地で意気投合した海外のバックパッカーたち。
フィリピンのバンドマン&ウーマンと談笑シーンは驚きの偶然。
1989年にカオルバンドはYAMAHAコンテストで優勝し世界大会へ。
その時に仲良くなったフィリピンバンドと香港路上でバッタリ再会。
彼らが箱バンをしているライブバーでのワンシーン。
オレが向けたカメラを手でさえぎるサラリーマン風男性はドラッグの売人。
何度か品物を買い親しくなったから気軽に撮影しようとしたらそれだけはダメだという感じ。
香港の国面積は東京23区とほぼ同じ。
そのサイズに渋谷新宿的な繁華街・兜町的高層オフィスビル街・銀座風高級ブランドショップ街
上野山谷的なドヤ街・旧秋葉原風電気屋街・ボートピープル含む漁港・農村的なものが
圧縮陳列されているので香港の団地・マンションは細く縦長。
電車で中心地から農村地区を抜け中国国境まで1時間かからない。

2022年現在中国の圧政下に苦しむ香港の景観は当時とは全く違う気がする。
そんな資料的な価値があるかもしれない作品。

「silent blues」

42分間アドリブでアップライトピアノを弾き続けた音源に様々な映像をぶち込みカオル単独での編集。
よほどのマニアでなければ楽しめない長編。
楽譜のようなものはなにもなく思いついたまま指の動くまま42分弾き続けた。
途中で詩の朗読のようなこともやっているけれど聴きとれないし気まぐれだし記憶記録なし。
MDで録音した42分を元に効果音などを付け加えていった。猫の鳴き声は偶然録音されたもの。
これを作ろうと思ったのはある時の誕生日ワンマンがキッカケ。
多くのライブハウスは開場から開演まで30分程度の待機時間がある。
その時に「誕生日ライブだから特別感のあるBGMを待機時間に流したいな」と思った。
最初は好きな曲のプレイリストを垂れ流すつもりだったけれど突然「30分の曲をひとつ作ろう」と。
そしていわゆる「開演が押す」ことを想定して尻切れトンボより余るぐらいの長さで「42分」にした。
42分の映像のためにはその10倍以上の映像素材が必要。約500分は撮影しなければならない。
そしてそのすべてを見直して使えるシーンだけをピックアップしてどこにどう配置するのか考える。
その時期のパソコンの容量や処理速度は現在より格段に悪いので
外付けハードディスクをタコ足配線のように大量に設置した。
編集作業をしながら「駄作だとしても2時間近い映画の撮影・編集ってのは
ものすごい大変なことなんだな」と思い知った。
それからどんなに酷い映画でもできるだけ丁寧に観るようになった。

でもそれらの作業は楽しかった。楽しかったからこそ駄作だとしても完成できたのだろう。
オレが写っているシーンは当時の担当マネージャーが撮影。
同行時にスキアラバな感じで「交番発見。ちょっとウロウロしてくるから撮って」みたいな。
オレが写っていないシーンはオレが撮影した。「silent bluse」のアルファベットは街の看板。
どれがいい感じになるのかわからないから「s」を発見すればとりあえず撮影。
渋谷のラブホテル街を撮ろうと思ったら受付のおばちゃんなどに強く叱られた。
純粋な撮影目的だとしても偶然に写り込むカップルには秘密の情事もいるからダメだと。
動物園は昔よく行っていた夢見ヶ崎動物公園という無料の小さな動物園。
無料だからか動物たちもサービス精神は薄くて孔雀が羽を広げたのはちょっとした奇跡。
でも無料だから設備投資に熱心ではないようで孔雀の檻は羽を広げ切れないスペースしかない。
そして無料だからか孔雀の檻の餌箱には破れた金網からありふれたハトやスズメが侵入御相伴。
やはり無料だからか閉じ込められた動物たちを小馬鹿にするように野良猫たちが園内を歩いている。
「夢見ヶ崎」は実在の地名でなんとも詩的な響きがいいなと気に入っている。

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