No.11 ミスティー

黒猫のミスティーは「母猫」でした。
産まれたばかりのチビ猫たちとコンビニ裏の吹きだまりに不法投棄されたスクラップの車で暮らしていました。腹ペコカラスに狙われたり怖いことをするニンゲンに傷つけられたりしないように大切に守りながら暮らしていました。一日中チビ猫たちをペロペロ毛繕い。ミスティーは自分のご飯を忘れてもチビ猫たち全員がお腹いっぱいになるまでミルクを飲ませました。満腹になったチビ猫たちはみんなでくっついて暖かく眠りました。たくさん愛されながらチビ猫たちは丸くなって眠りました。ミスティーはチビ猫たちが安心して眠っている姿を見ると誇らしくてしあわせな気持ちになります。みんなが立派に育つようにがんばろうと強く誓いました。... [続きを読む]

No.10 コーク

黒猫のコークの飼い主は悲しきOLでした。
かつて悲しきOLには「将来を誓い合った恋人」がいました。
週末にはなかよく手をつないでふたりがお気に入りの川にピクニックに行きました。
しかし悲しい悲しい事件が起こります。... [続きを読む]

No.9 ミックとジャガー

黒猫のミックと黒猫のジャガーはガソリンシティのはずれにあるレコード屋で暮らしていました。
その「オンボロレコード」はいつだってご機嫌な音楽が大きなステレオから大きな音で流れていました。
ミックとジャガーはいい音楽ならなんでも好きですが特にロックンロールが好きでした。... [続きを読む]

No.7 ロボ

黒猫ロボはペットショップで売られているネコでした。チビすけで用心深く他のネコとほとんど遊ばずいつもオリのすみっこでじっとしていました。そして目に映るすべてにものが敵であるかのようにロボは鋭い瞳でバカげた世界をじっとにらみつけていました。... [続きを読む]

No.6 アールとグレイ

黒猫のアールと黒猫のグレイは夫婦です。結婚したのはすっかり忘れるぐらいずいぶん前のコトです。
ふたりは幼い頃からずっと「小説家のお屋敷」で暮らしていました。
小説家は猛烈な人間嫌いでしたから使用人などは雇わずに
身の回りの世話などをアールとグレイに頼んでいました。... [続きを読む]

No.5 エル(絵本収録作)

黒猫エルは「占い館」のネコでした。
「水晶玉の横に黒猫を飾ったら神秘的なムードでオレは占い師としてもうかるだろうぜ」
占い師はそんな軽い気持ちでエルを拾ってきました。... [続きを読む]

No.4 ダイス(絵本収録作)

「今夜はヒマな夜だなあ。ダイス。ひと勝負するか?」
「いいけど用心棒は弱いからなあ」
「うるせーよ。本気出すからな。オレが先に親をやるぞ。
ほれ。ダイス。ばーんと賭けろよ。ギャラもらったばっかだからオレは景気がいいんだぜ」
「じゃあ遠慮しないでいくよ。黒猫の第六感では4か6だね」... [続きを読む]

NO.3 シルバとムーン

最初にレインハウスの住人になったのは双子の黒猫シルバとムーンです。
夏が終わった日の次の月曜日。昼下がりにふたりはやってきました。... [続きを読む]